旅とごはんと日々の記録。

ねこを飼っています。

岩手旅 二戸〜遠野

1月末ごろ、岩手へ旅に出た。随分と書くのが遅くなってしまった。光陰矢の如し。

1泊2日で目指すは岩手県金田一温泉。こじんまりとした温泉街で古い旅館建築が目当て。金田一温泉は座敷童伝説で有名だそうで、駅ではかわいらしい座敷童がお出迎え。

駅から散歩がてらトコトコ歩いて温泉街へ。豪雪でもおかしくない時期だが雪はほとんど残っていなかった。

 

宿泊は割烹旅館おぼない。少し早くついてしまったのだが、快くチェックインさせてもらうとお部屋はすでに暖房であったか。お宿の心遣いが嬉しい。

歴史のある宿だそうで、建物は古いがよく手入れされ掃除が行き届いていてとても良い雰囲気。周辺を散歩して、温泉で日々の疲れを癒やしたら部屋で大相撲を見ながら夕食を待つ。普段テレビをあまり見ないんだが大相撲ってやっぱり面白いよね。

 

夕食は大ボリュームで、川魚の塩焼き、牛のすき焼き、ホタテのバター焼きにひっつみ汁、お刺身、茶碗蒸し、小鉢もたくさん。お酒はビールとせっかくなので地酒の日本酒を。

割烹旅館というだけあってどれもこれも大変美味しく、個人的には刺し盛りが新鮮な貝類たくさんで嬉しかった。それから初めて食べたひっつみ汁、地味深い汁にモチモチのひっつみが良く合って私の好みにぴったりだった。「舞妓さんちのまかないさん」(小山愛子, 小学館)で知ってからずっと食べてみたかったんだよね。ご機嫌な夕食。

 

夕食中には若女将が地域の民話を語ってくれ、途中で3頭身の座敷童が走り抜けるハプニングもあり、しっぽり一人の夕食のはずが思いがけず人とのふれあいを感じる楽しい時間。伝統を大切にしつつ新しいことにもどんどん挑戦する若女将のバイタリティに触れ、大いに創作意欲を刺激された。

ご飯は白アスパラを一緒に炊いた白ご飯。アスパラの甘さがほんのりお米に移って美味しい。が、流石に食べきれず...おにぎりにしていただいてお持ち帰り。黄色いのはたくあん。

大満足でお部屋へ帰り、さて寝ますか...と布団に潜り込むとなんとそこには湯たんぽが! おもわず「あったかーい」と声が出た。足がぽかぽか。粋な心遣いだね。最高の気分で眠りにつく。

 

今年は記録的な暖冬で岩手でも驚くほど雪が少ない、とのことだったのだが、翌朝目が覚めると雪が降っていた。雪の旅館は風情が増してなおさら素敵だ。

 

朝ごはんは定番の「旅館の朝ごはん」。普段、朝は食べない派だが旅の朝は別。

「ピカピカのご飯に、あっつあつのお味噌汁ですよ〜」と若女将が運んできてくれて朝からほっこり。朝風呂もきっちり入らせていただいて良い1日のスタート。

 

周辺を散歩して、久々の雪を楽しみ、宿のご好意で駅まで送ってもらって二戸を後にした。良い宿だったな。

 

金田一温泉を出発し、遠野へ立ち寄り。

観光の際は観光タクシーを2〜3時間借り切って運転手さんの話を聞きながら名所を見て回るのがいい。一人旅だと多少コスパが悪いが慣れない土地で地図を見ながらレンタカーするより効率が良く、地元民のお話も聞けて楽しい。とかなんとか言って、私はゴールデンペーパードライバーなため公共交通機関のみでの観光には限界があるので。

歴史ある土地には語り部タクシーが運行していることが多いのでおすすめなのは本当。

 

愛宕神社から卯子酉様、遠野郷八幡宮、山崎のコンセイサマを巡る。神社の写真はできるだけ撮らない主義なので写真は割愛。運転手さんはねこをお家で飼っているとのことで、ねこ話で盛り上がりつつ地域の興味深い話も聞けた。

 

今回聞いたお話は2つ。運転手さんの知り合いのまたぎのお話。

またぎは二人1組で狩りをするのだそうだが、あるとき大きな熊を討ち取った。毛皮をどうするか、肉をどうするか、二人の間で言い合いになってしまいしばらく話込んでいると熊がそーっと起き上がり一目散に逃げていったそうだ。熊も死んだフリするんだね。

もう一つはまたぎの飼っている猟犬がとても人懐こい話。猟犬なのに知り合いが家に来ればはしゃいで人の周りを走り回り、お腹まで撫でさせてくれるという。「こんなので狩りができるのか」と思うほど陽気な犬なのだそうだが、狩りに出れば一変。機敏に勇ましく野生動物を威嚇し追い込むのだそうだ。猟犬、かっこかわいい。

 

そんな収穫満載の岩手旅。「旅とごはんと日々の記録」なのに全然旅の記事が書けていなかったがやっとかけてよかった。